日本酒業界の売上規模が右肩下がりの状況の中、「エンタメ化経営」で勢いが止まりません。その勢いの謎を解き明かしながら、エンタメとしても楽しみつつ追体験できるノンフィクションストーリーです。
造り手が造りたい酒を造るのではなく、
人を心の底から笑顔にするための日本酒を造る!
古くより広く親しまれてきた日本酒業界の売上規模は、多くの酒造が奮闘していながらも、長い間、右肩下がりで下がり続けています。
こうした背景の中で、2002年、同社は過去最低の売上を記録しました。
そして、古参社員は相次いで退職。
杜氏は、心臓病にかかって突然引退。
社内には、うつ病を発症する人も出て、窃盗や横領といった不祥事も発覚。
業績不振になると銀行は手のひらを返し、融資はおろか、支払いスケジュールの見直しにも応じてくれなかったそうです。
著者の渡邉氏はそのストレスから暴飲暴食を繰り返し、体重は100キロを突破。
気がつけば背中には謎の腫瘍が出てくるほどに追い込まれていました。
しかし、どん底の経営状態を経て、ある時にふとしたきっかけから「お客様に楽しんでいただくことが大切なのではないか?」と閃きます。
そして日本酒業界には、大量生産で効率化された「工業化」、高品質=高価格ブームの「高級化」、造り手がこだわりの逸品を生み出す「芸術化」といった潮流があったことに気づきました。
たくさんの商品が生まれることは決して悪ではないものの、渡邉氏にはこれが「造り手が造りたい酒を造っているように見えた」そうです。
そして、「SAKE is Entertainment! 人を心の底から笑顔にするものが日本酒であるべきだ。ならば、渡辺酒造店は『エンタメ化経営』で世界を狙うぞ!」と開眼。
ここから、渡辺酒造店の快進撃が始まります。
味は良くて当たり前!
常識にとらわれないユニークかつ多様な販売方法で、逆境のコロナ禍までも駆け抜ける!
忍び寄る不況の足音。
同調圧力の強い地方経済。
立ちはだかるリベートとヒエラルキーの壁。
容赦なく畳みかけてくる酒販店からの圧力。
押し寄せる規制緩和の波。
数多くの困難を、渡辺酒造店はタブーを無視したユニークな商品開発と販売手法で突破していきます。
そして駆け抜け続けて19年間。
気付けば売上のV字回復を皮切りに、このコロナ禍の逆境も追い風に変えて、売上高で約400%もの成長を達成していました。
また、成長の過程においては様々な賞も受賞して、華々しい結果を残してきました。
国内外の18のコンテストに応募し、毎年50を超える賞を獲得する中で、ついた異名が「コンテスト荒らし」。
毎年ロンドンで開催され、「マスター・オブ・ワイン」という世界最高峰の資格をもつトップ・ソムリエが評価するコンテスト「IWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)」の日本酒部門で「グレートバリュー・チャンピオン・サケ」を国内唯一、2度受賞。
2020年には、「世界酒蔵ランキング」で第1位を獲得。
突出した結果を残しながらも、留まる所を知らない渡辺酒造店。
この快進撃は、なぜ実現できたのか。
本書は、その秘訣となる「エンタメ化経営」の謎を解き明かしながら、エンタメとしても楽しつつ追体験できるノンフィクションストーリーです。
「飛騨に日本酒のワンダーランドをつくること」
「日本酒がワインを超える日の実現」
業界の「異端」である渡邉久憲氏が語る、この2つの夢に向かって走り続ける逆境のローカル経営ストーリー。
ぜひお楽しみください!
長らく続いているコロナ禍の中で、モヤモヤや苦しみを感じているかもしれないたくさんの方々へ向けて、この山あり谷ありの経営ストーリーを読んでいただけたら嬉しく思います。
そして一瞬でもコロナ禍のことを忘れて、楽しんでもらえたら幸いです。
渡辺酒造店のお酒のつまみに、ぜひご一読ください。
構成
第1章 「エンタメ化経営」で日本酒の原点を取り戻す!
第2章 地獄からのV字回復! 9代目当主、誕生前夜
第3章 経営を加速させるエンタメ化経営の真髄
終章 夢は “日本酒が世界でワインを超越すること” と “日本酒のワンダーランドを作ること”
書籍情報
出版社 : クロスメディア・パブリッシング
発売日 : 2021/9/28
定価:1,628円(本体1,480円+税10%)
言語 : 日本語
単行本(ソフトカバー) : 208ページ
ISBN : 978-4-295-40605-1