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ブログ 蔵談義

「渡辺酒造店の四半世紀を見た男」の巻 森下 知靖 運営本部マネージャー

2021.1.21

渡辺酒造店に入社し23年。渡辺酒造店の約四半世紀を見届けてきた森下マネージャーに、古参メンバーならではのお話をお聞きしました。

Q:森下さんの現在の業務内容を教えてください。
森下氏:瓶詰・出荷・販売工程のマネージメントをしています。具体的には瓶やラベルなど資材の仕入れ、瓶づめ計画、出荷計画またそれに伴う人員の配置計画などを行っています。

Q:入社されて23年目。渡辺酒造店の古株社員さんとお聞きしました。
森下氏:そうですね。1番古いわけではありませんが、若返った今の渡辺酒造店の中では古株ですね。ただまだ41歳なんですよ。

Q:ということは18歳から渡辺酒造店にいらっしゃるという事。高校を卒業されてからすぐに?
森下氏:実は、地元の高校を卒業した後は、名古屋の会社に就職しました。まぁ漠然とした都会生活へのあこがれでした。しかしその会社というのが山の上などに大きな鉄塔を建てる会社で、入社早々静岡の山奥に配属されることになってしまいました。都会生活を目指して名古屋の会社に行ったのに地元の飛騨よりも山奥へ…(笑)。それで1カ月後、退職して地元に戻ってきました。そして地元で次の仕事を探している中、私の知り合いが当時の社長(現会長)に相談したところ、あと数年で息子(現社長)が帰ってくるから若いスタッフを準備しておきたいという意向の下、入社に至りました。

Q:23年前、現社長もまだ帰ってみえていない頃の渡辺酒造店はどんな感じだったのですか?
森下氏:企業というよりかはむしろ、良くも悪くも昔ながらのザ・酒蔵でした。人間関係においては「酒蔵は蔵人の聖域だから販売側は入る必要がない」、伝統面では「女は蔵の中に入っちゃいかん」、仕事の考え方においても「蔵人はお酒を愚直に造る、お店側は計画通りに販売すればよい」という酒造り側と販売側でしっかりとした壁が築かれた雰囲気だったと思います。。

Q:現在の雰囲気とはずいぶん違ったのですね。23年間に何があったのでしょうか?
森下氏:井西の考えた酒ってご存じですか?

Q:事務の女性の井西さんですか?
森下氏:そうです。その井西が発案し現社長と造り上げた『星のふね』という微炭酸のお酒があったんですが、これが昔ながらのザ・酒蔵渡辺酒造を打ち破った第一歩だと記憶しています。それまでは新商品なんかはほとんどなく、商品ラインナップも毎年だいたい同じ、だから蔵とお店側であまりコミュニケーションがなかったし、必要なかったんです。でも新しいコンセプトのお酒を造るには何度も話し合いをしなくちゃいけないし、蔵とお店を行ったり来たりしなくちゃいけない。そうする中で、お互いが理解し合いながら少しずつ壁が低くなっていったように感じます。
そして現社長のシーズン毎の新商品開発、会社全体での蔵まつり企画・運営などにより、より一層コミュニケーションが図られ、非常によい雰囲気になってきました。

Q:確かに、社長の新商品への発想力はすばらしいものがありますね。ちなみに御社は今何種類ほど販売してみえるのですか?
森下氏:約50種だと思います。私が入社した当時は10種類程度でしたから、5倍にも増えたんですね(笑)。その甲斐あってか、当時は地元90%、他地域10%という販売比率でしたが、今では50%、50%程度の比率で、他地域の皆様に飛騨のお酒を楽しんでいただけています。

Q:酒の種類も増え、出荷量も増え、マネージャーとして大変ですね。
森下氏:年前の工場を振り返ると、瓶詰〜出荷エリアは3人か4人でやっていました。それが今では10人を超える人数で瓶詰から出荷を行うようになりました。自分が長く勤めている渡辺酒造店そして私どものお酒がこんなに認められているという事は素直に、とても嬉しいことだと思います。
ただマネージメントという立場から言うと、一年の中で出荷の波があるわけですが、その波の中で、できるだけスタッフ内で偏った負担がないように、また夜遅くまで仕事をしなくてもいいように人の配置・仕事の分配などをするのに苦慮しています。

Q:現在は専ら社内のマネージメントだと思いますが、これから日本酒にどのような形で関わっていかれたいですか?
森下氏:もともと人と接することが好きで、人の反応を見たり特に喜んでいる姿を見るのが好きでして、渡辺酒造店でも進んで高山営業所に配置転換してもらったことがあります。今は社内のマネージメントで忙しいですが、少し時間ができたら色々な地方のお酒を飲みに行って味はもちろんのことその地の文化や、マーケット性について勉強したいなと思います。そしてそれを自分たちのお酒の味や販売方法に還元できればと思っています。

Q:お客様や外の世界と接することが本当にお好きなんですね。
森下氏:はい。現在でも営業サイドで手が足りない時は、展示会のブースに立ち、接客をさせて頂いています。展示会の渡辺酒造店ブースは、ひと味違った魅せるブースになっています。もし機会がございましたら、お気軽に当社ブースへお立ち寄り下さい。

Q:それでは最後に森下さんの好きな日本酒を教えてください。
森下氏:伝統辛口が好きです。ずっしりくるお酒よりさっぱりとしたお酒が好きで、伝統辛口の飲んだ時のさっぱり口に広がるさわやかな感じが飲み飽きしないで大好きです。

今回は渡辺酒造店の四半世紀を知る森下マネージャーに話を聞かせていただきました。25年前の渡辺酒造店の空気は、現在の『日本で一番笑顔あふれる蔵』とはずいぶんと違っていたようです。『星のふね』開発以来の社内コミュニケーションそしてお客様とのコミュニケーション重視の姿勢が、現在の渡辺酒造店発展の礎になっていると感じさせていただけるお話でした。

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