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2021.12.4

しぼりたてがうまい!日本酒の新酒の時期、味わい方について詳しく解説!!【渡辺酒造店】

杉玉の掛け替えをしている様子

目次

 1. 日本酒の新酒とは?
 2. 新酒を味わえる季節は冬だけ
 3. 日本酒の新酒の味わいについて
 4. 新酒の美味しい楽しみ方
 5. 新酒を保存する際は注意!
 6. おすすめの新酒
 7. おわりに

・冬限定のお酒、新酒を楽しもう!しぼりたての日本酒の味わい方

例年、厳しい寒さに見舞われる冬の時期がやってきました。
秋まで熟成させたひやおろしも食欲の秋にはぴったりですが、厳しい寒さを乗り越えるために脂肪をたっぷりと蓄えた海の幸など、
冬も美味しい味覚に出会える季節として有名です。

そして、冬にはしぼりたての新酒が各地の酒蔵から出回るため、日本酒にとっても美味しいお酒を楽しむ特別な季節でもあります。
今回の記事では、しぼりたての新酒の魅力や特徴、よりおいしく新酒を味わうための楽しみ方についてお伝えいたします。

 

・日本酒の新酒とは?

そもそも新酒とは、どのようなものなのでしょうか?
実は新酒には、明確な定義があるわけではありません。
新酒を理解するためには、まずは少しややこしい日本酒の製造年度について理解する必要があります。

暦上の1年のはじまりは1月1日ですが、多くの企業や学校の1年間のはじまりは4月1日になっています。
実は日本酒の酒造りにも、酒造年度(醸造年度、BY:BreweryYear)という1年の区切りがあるのです。
日本酒造りは7月1日からスタートし、翌年の6月30日までが1年とされています。
なぜこの時期に設定されているのかというと、お酒の製造は毎年お米の収穫をベースに造るお酒の量を決めるため、
7月をスタートに設定するのがちょうどいいからです。

そして新酒とは、新米で醸したその醸造年度の初期の日本酒のことをいいます。
酒蔵によって酒造りの開始時期が異なるので、新酒の時期も酒蔵ごとに異なるのです。

新しく届いた杉玉を運ぶ蔵人

 

・新酒を味わえる季節は冬だけ

日本酒の新酒ができる時期は、一般的に12月~3月の日本で最も寒い時期となっています。
日本での酒造りはお米を作るところから始まり、収穫した米を酒造りに適した時期まで
温度の変化を起こさないように、適切に保管しておきます。

酒造りには低い気温が不可欠であり、特に純米大吟醸酒や大吟醸酒、純米吟醸酒や吟醸酒といった
吟醸造りをするときには、気温が一定して低くないと品質を安定させるのが困難になっています。
その他の工程でも、酒の品質を低下させないようにするには少しでも気温が低いことに越したことはありません。

一般的な日本酒が造られるときの発酵温度は高くても15度程度で、外気温が20度を超えるだけでも劣化が
進行してしまい易いことから、昼間の気温が高くなる時間帯でも十分に寒い冬の厳寒期が、酒造りには適しているのです。

そして新酒の中でも、抽出工程によって呼び名や味わいは異なります。
まず、日本酒の醸造工程において、お酒を搾るいわゆる上槽の部分、最初に出てきた日本酒は「あらばしり」と呼ばれます。

ここで抽出された日本酒は薄い濁りがあって、おり(お米の破片などの固形物)も多く含まれています。
その次に抽出されるのが「中汲み(中取り)」と呼ばれる日本酒です。色味は透明で、味と香りのバランスが優れているため、
日本酒の鑑評会に出品される酒は、ここの部分が多いとされています。

日本酒の銘柄に「あらばしり」や「中汲み(中取り)」と書かれていることもあるため、そういった表記から
味を想像してみるのもいいでしょう。

 

・日本酒の新酒の味わいについて

日本酒は新酒の時期と、それ以降ではかなり味に違いがあります。
よく、新酒の味を表現する仕方として、「フレッシュな味わい」、「若々しさがある」というものが使われます。
心地よいほろ苦さや、荒々しさなどが感じられるのが特長です。

新酒は醸造してから出荷されるまでまだ日が浅いのであまり熟成が進んでおらず、口当たりが荒く刺激的な味わいを感じるのが特徴です。
そのため、すっきりとしていて軽やかな印象を感じることが多いです。

熟成由来の香ばしい香りを感じられるようになると、コクや旨味の存在感が出てきますが、新酒の時点では熟成香がなく、
むしろ醸したての米の薫りや爽やかな香りを前面に感じることができるでしょう。
新酒は爽やかで飲みやすさを感じやすいことから、気軽な気分で日本酒を嗜むことができますが、
その飲みやすさからついつい飲みすぎてしまうことには注意が必要です。

もう一つ、新酒で特徴的な性質は微炭酸を帯びていることがあるという点です。
発酵する過程で、必ず炭酸ガスが出るので、日本酒の中には炭酸ガスが溶け込んでいます。
それが時間の経過や火入れの殺菌によって消失し、だんだんと感じられなくなりますが、
新酒のうちは舌の上を跳ねるように炭酸感を感じれることもあります。

炭酸によって酸味を助長するような爽やかな印象を持つことができます。
「新酒」は、火入れを一切行わない「生酒」や、アルコール分の高い「原酒」などで提供されることが多く、
「新酒」ならではの若々しいフレッシュな風味が存分に楽しめるのも魅力でしょう。

新酒しぼりたてと鍋料理

 

・新酒の美味しい楽しみ方

しぼりたての新酒は、キリッと冷やして飲むのがおすすめです。
お酒をより美味しく楽しむためには、酒の肴選びが非常に重要です。
新酒は若々しくみずみずしい味わいが魅力のお酒なので、味の濃いものよりも素材の味を活かした料理であれば、
すべての料理とマリアージュを楽しむことができます。

中でもおすすめは冬が旬の魚介類と合わせることです。1月~2月に最も脂が乗るといわれているクエ、寒ブリ、マグロなどは
爽やかな味わいの新酒とベストマッチします。
お刺身でも、カルパッチョにしても口の中をさっぱりさせてくれるため、どんどんお酒が進んでしまうでしょう。

 

・新酒を保存する際は注意!

新酒はとても繊細で味わいが非常に変化しやすいため、新酒らしいフレッシュさを味わうなら、なるべく早めに飲み切りたいものです。
やむを得ず保存する際は、できるだけ冷蔵保管しましょう。
保存の際は、横置きでなく瓶を立てて置くのが望ましいと言われています。

その理由としては、お酒が空気に触れる面積が大きいほど酸化が進んでしまうためです。
新酒をなるべく鮮度の良い状態に保つため、
空気に触れる面積が少ない状態で保管するようにしましょう。

 

・渡辺酒造店で人気!おすすめ新酒のご紹介

 

【蓬莱 新酒しぼりたて】

求めたのは極上のおいしさ。11月1日の杉玉交換と同時に出荷解禁した、一番乗りの新米で仕込んだ限定新酒の生酒です。
火入れ等のお化粧を一切せずに、搾りたてそのままの一番酒をお届けします。

まるで林檎をそのままかじったような爽やかな甘みと酸味は、素材と造りにこだわる蓬莱傑作の「新酒しぼりたて」です。

新酒しぼりたて

おすすめの飲み方:冷や
分類:吟醸生原酒
原料米:ひだほまれ
精米歩合:60%
日本酒度:+2
酵母:M310
アルコール分:17.8%
酸度:1.3

 

【蓬莱 新酒一番にごり】

今年も最高!超濃厚な日本一のにごり酒です。

えっ!こんな酒出していいの?と騒がれた、あの幻のにごり酒が登場!! 口コミで日本全国に知れ渡った超人気商品です。
「新酒一番にごり」は昔の酒造りの歴史ある文献に基づいて仕込んだ、いわば造り酒屋のどぶろくです。発酵完了直前の状態のもろみを
そのまま練りひいて瓶詰めしました。

まるでお餅や白玉をすりつぶしたような、荒削りな中にもおおらかで素朴なお米本来の味わいは、注目の自信作です。

一番にごり

おすすめの飲み方:冷や・常温
分類:火入れ 原酒にごり酒
原料米:ひだほまれ
精米歩合:67%
日本酒度:-15
酵母:9号酵母

アルコール分:17%
酸度:1.8

 

【蓬莱 まるしぼ】

 

まさに酒蔵を見学したときにしか味わえない、あの風味をご堪能いただけます。通常のもろみをさらに長く低温熟成させ、アルコール度を極限まで高め、しぼってそのまま素早くビン詰めしました。

 

古式醸造法の原点「タ号法」×「7号酵母」で醸した、冬にたった一度だけしぼる超新鮮な出来たてほやほやの初垂れしずく。フレッシュさが弾けジューシーな旨味でハチミツを舐めるような味わいが楽しめます。
ふわっとしたやさしい香り、ふくよかなコク、みずみずしい飲み口をお楽しみいただけます。

土と穀物の悠々たる香気、たっぷりとした奥行きとゆとり、そんな明治のふくよかさのある旨味に満ちた生原酒です。

まるしぼ

おすすめの飲み方:冷や・常温・ぬる燗
分類:普通酒 生原酒
原料米:ひだほまれ
精米歩合:68%
日本酒度:-2
酵母:7号酵母
アルコール分:19%
酸度:1.5

 

・おわりに

日本酒は1年を通して楽しめるお酒ですが、しぼりたての新酒は冬の一時期にしか楽しむことができません。
この機会にぜひ、新酒のみずみずしさを味わって魅力に浸ってみてはいかがでしょうか。

これまで日本酒が苦手だと思っていた方も、ぜひ飲んでみていただいて、毎年の新酒の時期を心待ちにしていただければと思います。
ぜひ、お店のInstagram等でも様々な酒蔵の近況や記事を発信しているので、覗いてみてください!

 

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